和食食材
家庭の食卓から冠婚葬祭の席まで、幅広いシーンで親しまれる和食。ただし、和食の食材は、実に多彩。あまりにも多くのラインアップを前に、どのような食材を選ぶか迷う人もいるかもしれません。
ここでは、和食の食材選びに悩む人に向け、食材の選び方やラインアップを紹介します。和食の食材について知り、より楽しんでもらえるメニューを提供しましょう。
和食とは
海外の食文化を取り入れたり、地域特有の食材や四季折々の食材があったり。和食といってもなかなか一口では語れません。和食とは、日本古来の食文化をもとに、柔軟に発展した食文化といえます。
和食の食材を決めるうえで大切なこと
和食で食材選びに悩んだ際は、四季や初物にこだわってみましょう。和食の食材を決める際に、役立つ考え方を紹介します。
和食の食材の決め方1.四季を重んじる
世界的にみて、四季がある国はそう多くはありません。四季を重んじる食文化は、和食ならではといえます。季節を感じさせる食材を取り入れ、食べる人に「旬」を感じてもらいましょう。以下では、四季折々の和食食材を紹介します。
春を感じさせる食材
フキノトウなどの山菜・筍・鯛・鰆など。やわらかい味付けで、食材の鮮やかな色味を生かせる料理が好まれます。
夏を感じさせる食材
トマトなどの夏野菜・鰻・穴子・ハモ・鮎・金目鯛など。スタミナを意識した料理や、さっぱりとした味付けの料理が歓迎されます。
秋を感じさせる食材
マツタケなどのキノコ類・サツマイモ・栗・鮭・ホタテなど。実りの秋といわれるように、山の幸と海の幸の両方を堪能できます。
冬を感じさせる食材
根菜類・春菊・ネギ・白菜・アンコウ・鱈・銀杏・サンマ・鯖など。冬は、鍋類など体を温める料理や、見た目華やか料理が似あう季節です。
和食の食材の決め方2.初物にこだわる
初物とは、その年に市場に初めて出回る食材を指します。古来より縁起がよいとされる初物は、健康・長寿を願う人々に好まれる食材。「新茶」や「初鮭」、「初鰹」などが有名で、プレミア価格がつく初物もあります。
和食の食材ラインアップ
和食には数々の食材があります。馴染み深い食材を中心に、代表的なものを紹介します。
和食の食材1.出汁
風味豊かな和食には、出汁が重要。煮物や味噌汁などメニューの内容や、メインとなる食材の種類が変われば、相性のよい出汁は変わります。
干し椎茸・鰹節・煮干し・昆布・野菜のかけら・肉や魚の骨などから出汁は取れます。また、奄美大島や沖縄地方などで使われる山羊、精進料理に使われる大豆の出汁など、特殊な食材をベースにした出汁もあります。
和食の食材2.肉類
日本で肉類を食べる文化は、明治時代から根付いたとされています。魚介類と比べると、肉類を食べる文化は新しいものと言わざるを得ません。それでも、しゃぶしゃぶ、すき焼き、つくね・肉じゃが・角煮など、各家庭や飲食店であらゆるメニューが提供されています。
和食に使われるおもな肉類には、豚肉・牛肉・鶏肉・シャモ・馬・鹿・イノシシ・熊・ウサギ・合鴨・ウズラなどがあります。
和食の食材3.魚介類
日本は海に囲まれた国。魚介類を使った和食は、刺身に煮付け、酒蒸し、焼き魚などラインアップが豊富です。塩辛や漬物など、保存食も充実しています。
和食に使われるおもな魚介類には、鰺・穴子・鮭・鱒・カレイ・鰹・シシャモ、マグロ・ハモ・カンパチなどの魚や、ヒジキやワカメなどの海藻類、ホタテ貝や牡蠣などの貝類などが挙げられます。
和食の食材4.野菜類・穀類・豆類
和食に使われる野菜には、日本原産のものから、海外から伝わったものまでいろいろ。料理の主役を張れる食材は、肉類や魚介類だけではありません。旬の野菜を使った天ぷら、ふろふき大根、焼きナスのように、野菜類も立派に主役を飾れます。
和食に使われるおもな野菜類には、ジャガイモ・ニンジン・タマネギ・カボチャ・レンコン・ホウレンソウ・大根などが挙げられます。穀類には大豆・小豆・ソバなど、豆類には枝豆・ソラマメ・インゲンマメなどがあります。
和食の食材5.果物類
食事の締めに楽しまれる果物。そのまま食べたり、ゼリーや大福に加工したり、果物は味も見た目も楽しませてくれます。
和食に使われるおもな果物類には、柿・杏・リンゴ・ミカン・桃・キンカン・梨などが挙げられます。
和食の食材6.そのほかの食材
ほかにも、きのこ類・山菜類・昆虫類・爬虫類・両生類など、さまざまな食材があります。イナゴの佃煮など郷土色の強い食材から、ふぐの子など毒のある食材まで、和食の食材は枚挙にいとまがありません。
ただし、珍しい食材を食べることに抵抗を感じる人も。提供するメニューを考えるときは、相手の好みを重視しましょう。
高級な和食食材
冠婚葬祭や重要な会食などのシーンには、それなりのメニューを用意しましょう。たとえば、ハモ・フグ・えび芋・むかご・落ちアユ・シマアジ・カラスミなどの食材を使ったメニューや、松阪牛や近江牛、大間のマグロなどの高級ブランドが喜ばれます。
和食のなりたち
和食は、時とともにさまざまな食材や文化を取り入れてきました。和食のなりたちについて紹介します。
かつての和食
「ごはん」、「汁物」、「おかず」の3要素で構成される和食の基本スタイル。和食の基本スタイルは平安時代に成立し、現代でも基本の献立として受け継がれています。また、一汁一菜、丼やカレーライスのように、ごはんとおかずが一体化したスタイルも、栄養バランスが取れていれば成立します。
おかず以外に、ごはんと汁物にも多くの食材を取り入れられる点は、和食のメリットです。まぜご飯や炊き込みご飯、豚汁やあら汁のように、たくさんの食材を取り入れた食事を提供しましょう。
新たな食材を取り入れ変化する和食
海外からあらゆる食材やレシピを取り入れ、日本オリジナルのレシピが生み出されています。たとえば、ラーメンや、スパゲティナポリタン、コロッケ、トンカツなど。洋食に見えつつ、実は日本発祥のレシピも和食といえます。
和食が無形文化遺産になった理由
「和食；日本人の伝統的な食文化」として、和食はユネスコ無形文化遺産に登録されました。無形文化遺産に和食が選ばれた理由は、四季の食材を楽しみ尊重する文化を継承すべき、という考えが認められたためです。
※参考：「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されています￨農林水産省
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